準周期タイリング

ペンローズタイル (1974)は5回対称性を有し、周期性のない準周期タイルとしてよく知られている。ペンローズタイルには幾つかの変形が知られているが、中でも二種類のひし形からなるパターンはペンタグリッドもしくは5次元の格子から作ることが可能である。このタイルの数学的特徴やペンタグリッドとの関係についてはN.G. de Bruijn (1981)が研究している。 index 図1 二種類のひし形からなるペローズタイリング 3次元版ペンローズパターンは正二十面体対称性を有し、二種類の平行六面体からできており、A.L. マッカイによって新しい原子の秩序として提案された (1962)。驚くべきことに、この提案されたものと同じ対称性を持つ合金が急速凝固した Al-Mn合金の中にあることを D. Shechtmanが1982年に発見し、準結晶(Quasicrystal)と名付けられた。D.シェヒトマンはこの業績で2011年ノーベル化学賞を受賞している。 詳細については, 例えばPenrose Tiling, Quasicrystal, Shechtmanのウィキペディアに詳しい。 ペンローズパターンのもう一つの拡張として5回対称性以外の対称性を与える模様を考えることができる。4回、6回、7回対称性を有する同様の模様はグリッド法ないしはn次元結晶の投影により描くことができる。この方法の詳細については「4次元グラフィクス」(1989)に詳しい。6回対象のパターンを図2に示す。 index2 図2三種類のひし形からなる6回対称性を有する模様。三種類のひし形の内角はそれぞれ1/6π-5/6π, 1/3π-2/3π, 1/2π-1/2π。

(a) index3
(b) index4
図3 図2に示した模様に対して、(a)ひし形の各辺の中点を頂点とする長方形を塗りつぶした図、(b)元のひし形を取り去ったもの(b)。模様の基本的な特徴は保持されている。 図2を用いて図3に示すような模様を描くことも可能である。この三種類の長方形はまた東京オリンピク2020のエンブレムでも使われている。 このひし形を用いて色々な組み合わせでタイル貼りすることで図4、5に示すように様々な模様を作り楽しむことも可能である。
index5
index6
図4 ひし形パズルを用いて東京オリンピック2020のエンブレムを作ったところ
写真 2016-06-01 21 22 05
写真 2016-06-02 13 07 06
図5 他の例。   以下、図6,7に示すように10角形、8角形に適応して似たパズルを作ることができる。

写真 2016-06-09 10 30 30

写真 2016-06-15 20 03 11

 

 

図6 10角形の例。ペンローズタイルと同じタイルを使用。

 

写真 2016-06-08 15 38 46

写真 2016-06-15 20 02 45

 

図7 8角形のパズル。かなりシンプルである。

 

References

  • Penrose tilling: https://en.wikipedia.org/wiki/Penrose_tiling
  • N. G. de Bruijin: Algebraic theory of Penrose’s non-periodic tilings of the plane, Proceedings of the Koninklijke Nederlandse Akademie van Wetenschappen Series A, 84 (1), March, 1981, 39-66.
  • D. Schechtman et al, Metallic phase with long range orientational order and no translational symmetry, Physical Review Letters 53, 1984, 1951-1954.
  • Quasicrystal: https://en.wikipedia.org/wiki/Quasicrystal Tokyo Olympic 2020: https://tokyo2020.jp/en/
  • Tokyo Olympic 2020: https://tokyo2020.jp/
  • K. Miyazaki and K.N. Ishihara “Four Dimensinal Graphics -Introduction to the Hyperspace CG”, Asakura Shoten, 1989 (in Japanese宮崎興二、石原慶一: 「4次元グラフィクス : 高次元CGへの道」朝倉書店, 1989)

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